「房州うちわ」作りには21の工程があり、そのほとんどが手作業で作られています。
(1)竹選別
材料には房州産女竹を使います。
虫がつかず竹の肉が締まっている10月から1月の寒い時期に伐採します。川沿いよりも山に生えている成長3年目の竹が最適とされ、一定の太さで節の間隔が長くまっすぐな竹を選びます。
切ってきた竹を型枠に合わせ均一の長さに切っていきます。
(2)皮むき
竹の皮の根元に刃を当て、竹を回すようにして皮を切り取ります。
枝になる芽の部分は逆側から切り落とします。
(3)磨き
機械を使って竹を磨いていきます。
水洗いした竹を200から300本、もみ殻と一緒に機械に入れ、約20分間磨いていきます。
機械から竹を取り出したら水でもみ殻を洗い落とし、その後しばらく乾燥させるため、竹を束ねておきます。
(4)水つけ
乾燥させた竹に4つの切れ目を入れ、一昼夜水に浸けておきます。
(5)割竹(さきだけ)
竹を細かく割いて、うちわの骨を形作る工程です。
割き台に竹を固定し、竹の中心から8つに割いて腰を折ります。内側の余分な肉の部分を削いでおきます。
さらに48本から64本の骨に割いていきます。
(6)もみ
もみは骨の角を滑らかにする作業です。
もみ台として、凹凸のある石やコンクリートブロックを使い、3,4本をまとめて力強く転がします。
ケガを防ぐために、わらじ、手袋、スニーカーなどがあると便利です。
(7)穴あけ
電動ドリルを使って弓を通す穴をあけます。
竹の節に合わせ垂直にドリルを押し付けていきます。(割れないように、力を入れずに)
(8)編竹(あみだけ)
うちわの骨を糸で編んでいく工程です。
骨をほぐしながら半分に分けていきます。
穴に編み棒を指しこんだら、糸を結び付け固定します。途中で崩れないように、しっかり握りながら、糸を交互に編んでいきます。
編み棒を外したら両端を糸でくくっておきます。
(9)柄詰
ノコギリを使って柄の部分を規定の長さに切っていきます。最後の一皮は柄を少し回しながら切ると切断面がきれいに仕上がります。
次に穴よりもやや大きい柳の枝を詰め、柄尻に沿ってノコギリで切断します。
(10)弓削
弓と呼ばれる部材を作り取り付ける工程です。
真竹をナタで細く割っていき、割った竹をすげ台の上で削り形を整えていきます。角を残しながら中心部は太く両端に向かって細くなっていくように削っていきます。
左右均等の長さになるよう取り付けます。
(11)下窓
揉みほぐしながら骨を均等に開いていきます。
骨の広がりができたら、糸を弓の両端に結び糸に張りを持たせます。
(12)窓作り(まどつくり)
うちわの骨が動かないように糸を引き締めておきます。
弓を反らせながら骨の両端と弓を糸で結びつけます。
型を当て、糸が作る曲線を整えていきます。
(13)目拾い
編んだ骨を確認しながら交互に仕分けていきます。
細く割いた竹を挟み込み、うちわが開いた状態で固定します。
(14)穂刈り
押切りと呼ばれる器具を使って大まかに裁断します。
後の工程で最終的な形に整えるので、作業に不要な部分だけを切っておきます。
(15)焼き
骨のゆがみを直すための工程です。
焦げないように適度な間隔をとりながら、編んだ部分のやや上を中心に火にあぶります。
炭火やガスコンロを使います。
(16)貼り(はり)
うちわの骨に紙や布を貼る工程です。
刷毛を使って骨全体に糊を薄く塗って紙に乗せ、竹へらを使い骨の間隔を均一に整えていきます。
残りの反面を空気が入らないようにゆっくりと乗せ接着します。
うちわどうしが重ならないように間隔を空けて干し、乾燥した室内で糊を乾かします。
(17)断裁
糊が乾燥し、しっかりと紙が貼り着いたら断裁機を使って既定の大きさに一枚一枚裁断します。
うちわの形に添ってハサミや押切りで切っていく方法もあります。
(18)ヘリ付け
水に浸し固く絞った手拭いを台の中心部に配置します。
細長く切った帯状の和紙を台の上に置きます。次に刷毛を使って和紙全体に糊を塗り、余分な部分を切ってしまいます。
断裁した切り口を覆うように、弓と骨の接続部分までへりを貼り付けます。
(19)下塗り
柄尻に胡粉と膠の混合物を塗っていく工程です。
まず、温めて溶かした膠に貝殻から作られる胡粉を混ぜていきます。
ヘラを使って、盛り上げるように塗っていきます。形が崩れないように、柄尻を上に向けたまま乾かします。
(20)上塗り
乾燥した柄尻に漆を塗る工程です。
筆に漆を少量つけ、柄尻を軽くたたくように塗っていきます。
(21)仕上げ
仕上げは一本ずつプレス機に通していきます。
骨の筋ががくっきり浮き出るように圧力を調整します。